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次の資料にもとづき、当期末の退職給付債務(退職給付引当金)の仕訳をしなさい。
[ 資料]
1.大田君は当期末まで7年勤務している。
2.大田君の退職までの全勤務期間は10年であり、退職予定時の退職給付見込額は1,000円である。
3.割引率は5%であり、端数が生じる場合には円未満を四捨五入。年金資産等はない。
4.当期首における退職給付債務(割引計算後)は 494円である。
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
退職給付費用 | 111 | 退職給付引当金 | 111 |
前問の1年後の今回も、退職給付見込額の1,000円は、退職時までの10年間の金額です。このうち当期末までの7年分についてはすでに発生し、支払義務が生じます。
つまり、 退職給付見込額1,000円 x 7年 ÷ 10年 =700円となります。この700円は将来の支払額なので、この金額の割引現在価値が当期末までの退職給付債務となります。
割引現在価値は3年分を計算するので、
当期末までの退職給付債務 =
700円 ÷ (1+5%)3 ≒ 605円 となります。
当期首の退職給付債務が494円で、当期末の退職給付債務が605円なので、当期繰入額は、605円ー494円=111円となります。
退職給付債務の期首と期末の差額は勤務費用と利息費用。
当期繰入額は、期首期末の差額、605円ー494円=111円ですが、これは、勤務費用と利息費用の合計額となります。
勤務費用とは
勤務費用とは1年間の勤務した分の現在価値であり、上の例題では、
1,000円 ÷ 10年 =100
100 ÷ (1+5%)3 ≒ 87円 となります。
利息費用とは
期首の退職給付債務の利息分です。
つまり、
494 x 5% ≒ 24円となります。
勤務費用(87円) + 利息費用(24円) = 111円 となり、退職給付債務の増加額と一致します。
その他の問題は「修繕引当金の仕訳~誤謬の訂正も含めて~」、「売上割戻引当金の計上の仕訳」、「返品調整引当金の仕訳、返品時の処理」、「退職給付債務(退職給付引当金)の計算方法①」、「賞与引当金の計上、取り崩し時の仕訳」など。
理論問題は「企業会計原則」