東京株式会社は 大阪株式会社を1年4月1日に吸収合併した。
この企業結合は取得とされ、取得企業は東京株式会社である。
次の資料に基づいてA.純資産額法、B.収益還元価値法、C.株式市価法、D.折衷法、の企業評価額と純資産法による合併比率と交付株式数を計算しなさい。
(A)合併直前の両社の貸借対照表
資産 | 東京株式会社 | 大阪株式会社 |
諸資産 | 1,210 | 950 |
負債・純資産 | 東京株式会社 | 大阪株式会社 |
諸負債 | 550 | 750 |
資本金 | 450 | 25 |
資本準備金 | 60 | 55 |
利益準備金 | 50 | 40 |
繰越利益剰余金 | 100 | 80 |
(B)2社の資料
東京株式会社 | 大阪株式会社 | |
資本還元率 | 20% | 20% |
自己資本利益率 | 18% | 12% |
発行株式総数 | 300株 | 100株 |
時価株価 | 80円/株 | 60円/株 |
企業評価額
A.純資産額法
東京㈱ 1,210-550=660
大阪㈱ 950-750=200
B.収益還元価値法、
東京㈱ 660x18% / 20% = 594
大阪㈱ 200x12% / 20% = 120
C.株式市価法、
東京㈱ 300 x 80 = 24,000
大阪㈱ 100 x 60 = 6,000
D.折衷法、
東京㈱ (660+594)/ 2 = 627
大阪㈱ (200+360) / 2 = 280
合併比率 (200/100) / (660/300)≒ 0.9
交付株式数
100 x 0.9 = 90
企業結合の場合、存続会社は、消滅する合併される側の株主に対して、株式を発行します。
その発行する交付株式数の算定の流れは以下の通りです。

純資産額法での企業評価額の算定
純資産額法は、純資産で企業を評価します。つまり
企業評価額=総資産-総負債
となります。
上の例なら、
東京㈱は 1210-550=660
大阪㈱は 950-750=200
収益還元価値法での企業評価額の算定
収益還元価値とは利益を資本還元率で割った価値を言います。
資本還元率自体は、問題文で提示されます。
意味としては、
資本還元率は、市場金利などの調達金利等に危険率を加味して決定され、危険率の決定に際しては評価対象会社の規模・業種・経営環境・市場動向等を総合的に判断して決定する数値。
なので、一律の計算式があるわけではないようです。
この場合、
企業評価額=利益(自己資本x自己資本利益率) / 資本還元率
となります。
上の例なら自己資本=純資産なので、
東京㈱は 660x18% / 20% = 594
大阪㈱は 200x12% / 20% = 120
株式市価法での企業評価額の算定
株式の時価で企業を評価する方法を言います。
この場合、
企業評価額=1株あたりの時価 x 発行済株式数
となります。
上の例なら、
東京㈱は 300 x 80 = 24,000
大阪㈱は 100 x 60 = 6,000
折衷法での企業評価額の算定
折衷法というの文字通り、上の評価額の平均を取る方法です。
この場合、
企業評価額 = ( 純資産額法の企業評価額 + 収益還元価値法の企業評価額 )÷2
となります。(純資産額法、 収益還元価値法の場合)
上の例なら
東京㈱は (660+594)/ 2 = 627
大阪㈱は (200+120) / 2 = 160
合併比率の算定
合併比率は、消滅する会社の1株に対して、存続する会社の株式を何株発行するかので、
それぞれの企業評価額で割ります。
合併比率 = 消滅会社の1株あたりの企業評価額 / 存続会社の1株あたりの企業評価額
上の例なら
(200/100) / (660/300)≒ 0.9
交付株式数の算定
上の合併比率と株式数をかけて発行する数を決めます。
交付株式数 = 消滅会社の株式総数 x 合併比率
上の例なら
100 x 0.9 = 90
企業評価額は、純資産額法、 収益還元価値法、株式市価法、折衷法 などで決める。
合併比率 = 消滅会社の1株あたりの企業評価額 / 存続会社の1株あたりの企業評価額 で計算する
理論は「企業結合に関する会計基準」となります。 理論問題はこちら