次の一連の取引を、工事進行基準によって仕訳しなさい。なお、工事進行基準における決算日の工事進捗度は、原価比例法により決定すること。
(1) 東京建設は、1年7月1日にビルの建設(完成予定は2年10月31日)を2,850円で請け負い、契約時に手付金として200円を小切手で受け取った。
(2) 2年3月31日 決算日を迎えた。当期中に発生した費用は、材料費340円、 労務費430円、経費130円であった。なお、工事原価総額は2,250円である。
(3) 2年10月31日 ビルが完成し、引き渡しが完了した。引渡時に契約金の残額 2,650円を小切手で受け取った。なお、当期中に発生した費用は、材料費 580円、労務費 495円、経費 275円である。
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
(1) | |||
現金 | 200 | 未成工事受入金 | 200 |
(2) | |||
未成工事支出金 | 900 | 材料費 | 340 |
労務費 | 430 | ||
経費 | 130 | ||
完成工事原価 | 900 | 未成工事支出金 | 900 |
未成工事受入金 | 200 | 完成工事高 | 1,140 |
未成工事未収入金 | 940 | ||
(3) | |||
未成工事支出金 | 1,350 | 材料費 | 580 |
労務費 | 495 | ||
経費 | 275 | ||
完成工事原価 | 1,350 | 未成工事支出金 | 1,350 |
完成工事未収入金 | 1,710 | 完成工事高 | 1,710 |
現金 | 2,650 | 完成工事未収入金 | 2,650 |
工事契約に関する会計処理のポイントは2つあります。
1.処理方法が2通りある
2.勘定科目が独特
まず、1ですが、工事契約に関する会計基準では二つの処理方法があり、工事進行基準と工事完成基準です。
工事進行基準では、「工事収益総額」「工事原価総額」「 決算日における工事進捗度」を信頼を持って見積もることができる場合にのみ適用されます。
工事進行基準は工事の進捗度によって上記の条件が揃う場合適用され、それ以外の場合は工事完成基準を適用する形になります。
工事収益の計上としては
当期までの工事収益 = 工事収益総額 x 当期までに発生した実際の工事原価 / 工事原価総額
となります。
上の例だと問2で下の計算となります。
決算日における工事進捗度は、
900÷2,250=0.4
当期までの工事収益 = 2,850×0.4=1,140
2、の勘定科目の違いですが、下の表が対応表となります。会計科目の呼び方が工事契約では普通の一般的な会計科目と異なるというのが大きな違いとなりますので、覚えましょう。
一般的な勘定科目 | 建設業の勘定科目 |
売上 | 完成工事高 |
売上原価 | 完成工事原価 |
仕掛品 | 未成工事支出金 |
売掛金 | 完成工事未収金 |
買掛金 | 工事未払金 |
前受金 | 未成工事受入金 |
<まとめ>
・工事契約処理には工事進行基準と工事完成基準がある。
・工事契約の勘定科目は通常とは異なる。
理論は「工事契約に関する会計基準」となります。 理論問題はこちら