【簿記1級】収益認識に関する会計基準:基本原則と5つのステップ

問題

問1

当社は期首に顧客Bと、商品Xの販売と2年間の保守サービスに関する契約を締結し、契約書上の総対価額50,000円を現金で受け取った。商品Xの独立販売価格は40,000円、保守サービスの独立販売価格は20,000円である。商品Xは期首に引き渡し済みであり、保守サービスは契約期間にわたって均等に提供されるものとする。

この取引に関する、期首および期末(1年経過時点)における仕訳を示しなさい。

問2

当社は顧客Cに対し、商品Pと商品Qを合計80,000円で販売する契約を締結した。商品Pの独立販売価格は60,000円、商品Qの独立販売価格は40,000円である。この契約における取引価格を、各履行義務へ独立販売価格の比率で配分した場合、商品Pに配分される取引価格はいくらになるか計算しなさい。

問3

「契約資産」に関する記述として最も適切なものを以下の選択肢から選びなさい。

ア.企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利のうち、法的請求権が確定しているものをいう。

イ.企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利のうち、法的請求権がまだ確定していないものをいう。

ウ.企業が顧客から対価を受け取ったが、まだ財またはサービスを顧客に移転する義務が残っているものをいう。

エ.顧客との契約において、対価を回収する可能性が低いと判断された場合に計上される資産をいう。

問4

当社は期首に顧客Dと商品の販売契約を締結した。商品の引き渡しは期首に行い、商品の独立販売価格は25,000円であった。契約代金は25,000円であるが、顧客Dの工場に商品が設置され、正常に稼働することを確認できた時点(期中)で初めて支払義務が発生する条件が付されている。期首の時点ではまだ設置・稼働確認は完了していない。

期首における仕訳を示しなさい。なお、この契約はステップ1の要件を満たすものとする。

問5

当社は期首に顧客Eと、ソフトウェアのライセンス提供と1年間のシステム導入支援サービスに関する契約を締結した。契約総額は120,000円で、全て現金で受け取った。ソフトウェアライセンスの独立販売価格は90,000円、システム導入支援サービスの独立販売価格は60,000円である。ソフトウェアライセンスは期首に提供済みであり、システム導入支援サービスは契約期間にわたって均等に提供されるものとする。

システム導入支援サービスに配分される取引価格を算定し、その上で期首に認識すべきソフトウェアライセンスに係る収益額を計算しなさい。



<答え>

問1 解答

(期首時点)

借方金額貸方金額
現金50,000売上33,333
契約負債16,667

(期末時点)

借方金額貸方金額
契約負債8,333売上8,333

問2 解答

48,000円

問3 解答

イ.企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利のうち、法的請求権がまだ確定していないものをいう。

問4 解答

(期首時点)

借方金額貸方金額
契約資産25,000売上25,000

問5 解答

  • システム導入支援サービスに配分される取引価格:48,000円
  • 期首に認識すべきソフトウェアライセンスに係る収益額:72,000円


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収益認識会計基準の基本原則:現代の取引に対応する新しいルール

従来の収益認識と「実現主義」の限界

これまでの日本の収益認識の考え方は、**「実現主義」**という原則に基づいていました。実現主義とは、財やサービスが提供され、その対価として金銭を受け取るか、受け取る権利が確定した時点で収益を認識するというものです。しかし、現代の経済活動は非常に多様化しており、例えば、商品とサービスが一体となった契約や、長期にわたる複雑な取引などが増加しています。このような多様な取引を、従来の実現主義だけで適切に認識することには限界が生じてきました。

そこで、国際的な会計基準との調和も図りつつ、より実態に即した収益認識を行うために、「収益認識に関する会計基準」が公表され、適用されることになったのです。

適用が強制されないケースにご注意ください

この新しい収益認識に関する会計基準は、大会社や上場企業などには適用が強制されますが、すべての企業に一律に適用されるわけではありません。例えば、中小企業においては任意適用とされており、引き続き従来の実現主義に基づく収益認識を行うことができます。

また、以下の取引についても本基準の適用から除外されています。

  • 「金融商品に関する会計基準」に規定されている取引
  • 「リース取引に関する会計基準」に規定されている取引
  • 重要性の乏しい取引

これらのケースでは、引き続き個別の会計基準や従来の考え方に基づいて処理が行われます。

収益認識の基本原則と5ステップアプローチ

新しい収益認識に関する会計基準の根底にあるのは、以下の基本原則です。

「約束した財またはサービスの顧客への移転を、当該財またはサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識すること」

この原則に基づいて収益を認識するために、企業は次の①から⑤のステップに従って会計処理を進めます。この5ステップアプローチは、収益認識会計基準の最も重要な骨格部分となりますので、しっかりと理解しましょう。

  1. 顧客との契約を識別する
  2. 契約における履行義務を識別する
  3. 取引価格を算定する
  4. 契約における履行義務に取引価格を配分する
  5. 履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて収益を認識する

収益認識のための5ステップアプローチ詳細

ここからは、上記の5つのステップについて、一つずつ詳しく見ていきましょう。

ステップ1:顧客との契約を識別する

まず最初のステップは、本会計基準を適用すべき**「顧客との契約」が存在するかどうかを判断することです。この基準が定める「顧客との契約」に該当するためには、以下の(1)から(5)のすべての要件**を満たす必要があります。

  1. 当事者が、書面、口頭、取引慣行などにより契約を承認し、それぞれの義務の履行を約束していること。
  2. 移転される財またはサービスに関する各当事者の権利を識別できること。
  3. 移転される財またはサービスの支払条件を識別できること。
  4. 契約に経済的実質があること(契約の結果として、企業の将来キャッシュ・フローのリスク、時期または金額が変動すると見込まれること)。
  5. 顧客に移転する財またはサービスと交換に企業が権利を得ることとなる対価を回収する可能性が高いこと。

これらの要件をすべて満たさない場合、本基準は適用されません。

ステップ2:契約における履行義務を識別する

ステップ1で「顧客との契約」を識別できたら、次にその契約に含まれる**「履行義務」**を明らかにします。**履行義務とは、「財またはサービスを顧客に移転する約束」**を指します。

一つの契約の中に、複数の財やサービスを顧客に移転する約束が含まれている場合があります。この場合、顧客への移転を約束した財またはサービスが所定の要件を満たすのであれば、それらを**「別個のもの」として捉え、それぞれを別々の「履行義務」として区分して識別する**必要があります。例えば、商品の販売とそれに付随するメンテナンスサービスを同時に契約した場合、これらは別個の履行義務として識別されることが多いでしょう。

ステップ3:取引価格を算定する

ステップ2で識別した契約の履行義務に対して、企業が顧客から受け取ると見込まれる**「取引価格」**を算定します。**取引価格とは、「財またはサービスの顧客への移転と交換に、企業が権利を得ると見込む対価の額」**のことです。

この算定の際には、単に契約書に記載された金額だけでなく、以下のような要素を考慮して調整を行います。

  • 変動対価:例えば、数量割引や返品権付き販売など、将来の事象によって対価の額が変動する可能性のあるもの。
  • 現金以外の対価:物々交換など、現金以外の形で対価を受け取るケース。
  • 金利相当分の影響:支払いが長期にわたる場合など、貨幣の時間的価値を考慮した金利相当額。
  • 顧客に支払われる対価:リベートやクーポンなど、企業が顧客に支払う対価。

これらの要素を適切に評価し、取引価格を合理的に見積もる必要があります。

ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する

算定した取引価格を、ステップ2で識別した各履行義務に配分します。この配分は、原則として、**「契約において約束した別個の財またはサービスの独立販売価格の比率」**に基づいて行われます。

独立販売価格とは、その財やサービスを個別に販売した場合の価格のことです。もし独立販売価格を直接観察できない場合には、合理的な方法で見積もって配分を行います。このステップは、複数の商品やサービスが一つの契約に含まれている場合に特に重要となります。

ステップ5:履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて収益を認識する

最後のステップは、配分された取引価格に基づいて収益を認識することです。具体的には、約束した財またはサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時に、または充足するにつれて、その履行義務に配分された額で収益を認識します。

履行義務の充足のタイミングは、主に次の2つのケースがあります。

  • 一時点で充足されるケース:商品の引き渡しなど、特定の時点でお客様が財を支配できるようになった時。
  • 時間の経過とともに一定期間にわたり充足されるケース:メンテナンスサービスやサブスクリプションサービスなど、一定期間にわたってサービスが提供されるにつれて。

「収益認識に関する会計基準」においては、この**「履行義務」が収益認識の単位**となる点が、これまでの会計処理との大きな違いの一つです。

顧客との契約から生じる債権、契約資産、契約負債

収益認識に関する会計基準では、顧客との取引に関連して「顧客との契約から生じる債権」「契約資産」「契約負債」という新しい概念が登場します。これらは、収益を認識したものの、まだ代金の受け渡しが完了していない、またはサービス提供が完了していない状況で発生するものです。

顧客との契約から生じる債権

企業が顧客に対価を受け取る前に財またはサービスを移転し、収益を認識した場合、顧客に対する権利を計上します。このとき、**「顧客との契約から生じる債権」とは、企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、無条件のもの(すなわち、対価に対する法的な請求権)**をいいます。

具体的には、支払義務がすでに発生しており、企業が顧客に対して法的な請求権を持っている場合です。これは貸借対照表上では、従来の**『売掛金』**などと同様に表示されます。

契約資産

「契約資産」とは、企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利を指しますが、「顧客との契約から生じる債権」とは異なり、まだ法的な請求権が発生していないものをいいます。

例えば、ある財の引き渡しは完了し収益を認識したものの、代金の支払義務がまだ発生する条件を満たしていない場合などが該当します。この場合、貸借対照表上では**『契約資産』**や『工事未収入金』などとして表示されます。支払義務が発生するまでは契約資産として計上し、支払義務が発生した時点で『売掛金』などの顧客との契約から生じる債権に振り替えられます。

契約負債

「契約負債」とは、企業が財またはサービスを顧客に移転する義務に対して、企業が顧客から対価をすでに受け取っているもの、または対価を受け取る期限が到来しているものをいいます。

つまり、顧客から代金を受け取ったものの、まだ財やサービスを顧客に移転する履行義務が完了していない場合に計上されます。これは、従来の**『前受金』**と同様の性質を持つ負債と考えることができます。履行義務が充足されるにつれて、この契約負債は収益(売上)に振り替えられていきます。


【問題解説】

問1 問題解説

この問題は、一つの契約の中に「商品の販売」と「保守サービス」という2つの異なる履行義務が含まれている場合の収益認識を問うものです。まず、ステップ2で「商品の販売」と「保守サービス」という2つの履行義務を識別します。次にステップ3で取引価格50,000円を算定し、ステップ4でこの取引価格を各履行義務の独立販売価格の比率で配分する必要があります。

取引価格の配分計算: 独立販売価格の合計は、商品Xが40,000円、保守サービスが20,000円なので、合計は60,000円です。

  • 商品Xへの配分額:50,000円 × \(\frac{40,000円}{60,000円}\) = 33,333円(円未満四捨五入)
  • 保守サービスへの配分額:50,000円 × \(\frac{20,000円}{60,000円}\) = 16,667円(円未満四捨五入)

次に、ステップ5で収益認識のタイミングを考えます。「商品Xの販売」は期首に引き渡しが完了しているため、期首時点で履行義務が充足され、収益を認識します。一方、「保守サービス」は2年間にわたって提供されるため、時間の経過とともに履行義務が充足されていきます。期首時点ではまだサービス提供は行われていないため、保守サービスに配分された金額は、将来サービスを提供する義務として「契約負債」として計上します。期末時点(1年経過時)では、2年間のうち1年分の保守サービスが完了しているため、契約負債の半額を収益に振り替える必要があります。

期首時点の考え方: 現金50,000円を受け取っています。商品Xの収益33,333円を認識し、残りの保守サービス分16,667円はまだ履行義務未完了のため契約負債として計上します。

期末時点(1年経過時点)の考え方: 保守サービスは2年間のうち1年分が完了したため、当初計上した契約負債16,667円の半額、すなわち8,333円を収益に振り替えます。

問2 問題解説

この問題は、複数の履行義務がある場合に、総取引価格を各履行義務にどのように配分するかを問う計算問題です。収益認識のステップ4にあたります。配分の原則は、**「各履行義務の独立販売価格の比率」**に基づくとされています。

まず、各商品の独立販売価格を確認します。

  • 商品Pの独立販売価格:60,000円
  • 商品Qの独立販売価格:40,000円

次に、独立販売価格の合計を計算します。

  • 合計独立販売価格:60,000円 + 40,000円 = 100,000円

契約の総取引価格は80,000円です。この80,000円を、各独立販売価格の比率で配分します。商品Pに配分される取引価格は、契約総額80,000円に、商品Pの独立販売価格が全体の独立販売価格合計に占める割合を乗じることで計算できます。

商品Pへの配分額の計算式: 商品Pへの配分額 = 契約総取引価格 × \(\frac{\text{商品Pの独立販売価格}}{\text{合計独立販売価格}}\) 商品Pへの配分額 = 80,000円 × \(\frac{60,000円}{100,000円}\) = 80,000円 × 0.6 = 48,000円

この計算により、商品Pに配分される取引価格は48,000円となります。この配分された金額が、商品Pの履行義務を充足した際に認識すべき収益額となります。

問3 問題解説

この問題は、「契約資産」の定義と性質を理解しているかを問う選択肢問題です。収益認識会計基準では、顧客との契約から生じる権利義務を「顧客との契約から生じる債権」「契約資産」「契約負債」の3つに分類しており、それぞれの概念を正確に把握しておくことが重要です。

各選択肢を詳しく見ていきましょう。

  • ア.**「法的請求権が確定しているもの」**という記述があります。これは「顧客との契約から生じる債権」の特徴であり、『売掛金』などがこれに該当します。したがって、アは契約資産の定義とは異なります。
  • イ.**「法的請求権がまだ確定していないもの」**という記述があります。これは、まさに「契約資産」の定義そのものです。企業が財またはサービスを顧客に移転し、収益を認識しているにもかかわらず、まだ顧客からの支払義務が法的に確定していない状態の権利を指します。
  • ウ.**「顧客から対価を受け取ったが、まだ財またはサービスを顧客に移転する義務が残っているもの」**という記述があります。これは「契約負債」の定義であり、『前受金』などがこれに該当します。したがって、ウは契約資産の定義とは異なります。
  • エ.「顧客との契約において、対価を回収する可能性が低いと判断された場合に計上される資産」という記述は、特定の会計基準上の資産の定義とは異なります。対価回収の可能性はステップ1の契約識別要件の一つであり、回収可能性が低い場合はそもそも契約として識別されない可能性が高いです。

以上の分析から、が「契約資産」に関する最も適切な記述であると判断できます。契約資産は、将来的に法的請求権が発生した時点で「顧客との契約から生じる債権」(売掛金など)に振り替えられるという流れも理解しておくと良いでしょう。

問4 問題解説

この問題は、商品の引き渡しと代金回収のタイミング、特に支払義務発生の条件が関係するケースにおける仕訳を問うものです。ここでは「契約資産」の概念が重要になります。

状況の整理:

  • 期首に商品の引き渡しは完了しています。これは、商品の販売という履行義務が充足されたことを意味し、この時点で収益を認識できます。
  • しかし、代金の支払義務は、**「顧客Dの工場に商品が設置され、正常に稼働することを確認できた時点」**で初めて発生するという条件が付されています。期首時点ではまだこの条件は満たされていません。

仕訳の考え方: 商品が引き渡され、履行義務が充足されたので、企業は収益(売上)を認識します。貸方には『売上』25,000円を計上します。

一方で、代金に対する法的請求権(支払義務)はまだ発生していません。なぜなら、設置・稼働確認という条件がまだ満たされていないからです。このような、企業が顧客に移転した財またはサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、法的請求権がまだないものを**「契約資産」**として計上します。

したがって、借方には『契約資産』25,000円を計上するのが適切です。もし、その後に設置・稼働確認が完了し、支払義務が発生した時点で、この『契約資産』は『売掛金』などの顧客との契約から生じる債権に振り替えられることになります。この問題は、収益認識のステップ5における権利の計上区分、特に契約資産の発生タイミングを問う応用問題と言えます。

問5 問題解説

この問題は、複数の履行義務がある契約において、取引価格を各履行義務に配分し、その上で特定の履行義務に係る収益を認識するまでの計算プロセスを問うものです。収益認識のステップ4(取引価格の配分)とステップ5(収益認識)の理解が求められます。

ステップ1〜3の確認:

  • 顧客との契約は識別されており、取引価格は120,000円です。
  • 履行義務は「ソフトウェアライセンス提供」と「システム導入支援サービス」の2つです。
  • それぞれの独立販売価格は、ソフトウェアライセンスが90,000円、システム導入支援サービスが60,000円です。

ステップ4:取引価格の配分 まず、各履行義務の独立販売価格の合計を計算します。 合計独立販売価格 = 90,000円(ライセンス) + 60,000円(サービス) = 150,000円

次に、契約総額120,000円をこの比率で配分します。

  • システム導入支援サービスへの配分額 システム導入支援サービスへの配分額 = 120,000円 × \(\frac{60,000円}{150,000円}\) = 120,000円 × 0.4 = 48,000円
  • ソフトウェアライセンスへの配分額 ソフトウェアライセンスへの配分額 = 120,000円 × \(\frac{90,000円}{150,000円}\) = 120,000円 × 0.6 = 72,000円 (または、契約総額120,000円 – システム導入支援サービス配分額48,000円 = 72,000円)

ステップ5:収益の認識 「ソフトウェアライセンス」は期首に提供済みであり、この時点で履行義務が充足されています。したがって、ソフトウェアライセンスに配分された取引価格の全額を期首に収益として認識します。

  • 期首に認識すべきソフトウェアライセンスに係る収益額 期首認識収益額 = ソフトウェアライセンスへの配分額 = 72,000円

システム導入支援サービスに配分された48,000円については、期首時点ではまだサービス提供が完了していないため、契約負債として計上され、期間経過とともに収益に振り替えられていくことになります。


【まとめ】

契約負債:顧客から対価を受け取ったが、まだ履行義務が完了していない企業の義務(例:前受金)。

ポイント1:収益認識の考え方の変更 従来の「実現主義」だけでは現代の多様な経済活動を認識するのに限界があったため、より実態に即した「収益認識に関する会計基準」が導入されました。ただし、中小企業や特定の取引(金融商品、リース取引など)には適用が任意または除外されるケースもあります。

ポイント2:収益認識の基本原則 企業が約束した財またはサービスを顧客に移転したことを、その交換として企業が受け取ると見込む対価の額で描写するように収益を認識することが基本原則です。

ポイント3:収益認識の5ステップアプローチ 収益を認識する際には、以下の5つのステップを順に適用します。

顧客との契約を識別する

契約における履行義務を識別する

取引価格を算定する

契約における履行義務に取引価格を配分する

履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて収益を認識する

ポイント4:顧客との契約の識別要件 ステップ1で「顧客との契約」と判断されるためには、5つの要件すべてを満たす必要があります。特に、契約の承認、権利・支払条件の識別、経済的実質の有無、対価回収の可能性の高さが重要です。

ポイント5:顧客からの権利と義務の種類 顧客との契約から生じる権利や義務は、法的請求権の有無によって分類されます。

顧客との契約から生じる債権:法的請求権がある権利(例:売掛金)。

契約資産:法的請求権がまだない権利(例:契約資産)。

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この記事を書いた人

簿記2級を取得し、現在簿記1級を勉強中。
学んだことを忘れないようにここでまとめてます。
普段は、会社で経理をしながら、経理・簿記関係の情報を発信。
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