簿記1級の出題範囲は、2020年度以前から2021年度へ一度変わり、2021年度から2022年度へまた変わります。
ただ、簿記1級の出題範囲は、2022年度から2023年度への変更はありません。
正直、2021年度は個人的に減る項目が多く大きな変化とならない印象ですが、変わると言われると気になるので、まとめてみました。
なお、2022年度については現時点の予定です(2022年度の範囲の確定は、2021年10月以降とのことです)
(年度とは、各4/1~翌3/31までに行われる試験のこと。例えば、2021年度とは2021年4月1日~2022年3月31日に行われる試験について書いてます。)
なんでこんなに変わるの?
一言でいえば、「収益認識に関する会計基準」が、2021年4月1日以降開始する事業年度から強制適用されるためです。
ややこしいですが、商工会議所は
「収益認識基準の適用により会計処理や財務諸表上の表示が従前と変わる部分は、2022年度に施行する試験から出題し、2021年度は出題しないこととなっております」
としており、2021年度については、変更箇所を当年に限り削除するなど論点を整理して、2022年度から本格変更を行うようです。
詳細は商工会議所HPのhttps://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-listに発表されてますが、正直わかりにくいので、1級についてわかりやすくまとめました。
商業簿記・会計学の出題範囲・区分
2020ー>2021の変更
- 「工事契約」の削除(工事進行基準など工事契約の各基準が、変更となるためいったん削除)
- 「外貨建取引」の「荷為替取引」の削除(荷為替取引の危険負担などが変更となるため削除)
- 「特殊商品売買」の「割賦販売(利息等の区分処理、取戻品の処理を含む)」の削除
2021ー>2022の変更
- 「その他の債権と債務等」の「発行商品券」を「発行商品券等」に改定(商品券以外にもプリペイド カードにも対応。現金預金や国債を供託する処理も含まれます)
- 「その他の特殊商品売買」の削除(削除というより、「収益認識に関する会計基準」の公表で各取引の処理が明確になるため、重要性が低くなったから。この内容が出ないという意味ではない)
- 「様々な財又はサービスの顧客への移転」の新設(ここに「割賦販売」などが含まれます)
- 「工事契約」を追加。(2021年の削除から戻す形)
- 「重要な金融要素」の追加(代金の受払いまで一定の長さがある取引などが対象)
- 「契約変更」の追加(工事契約に限らず、契約変更に関する一般的な取り扱いが出題対象となります)
- 「その他の様々な財又はサービスの顧客への移転」の追加(特殊商品売買や、その他の処理がここにまとまります)
- 「荷為替取引」の追加(2021年の削除から戻す形)
2022ー>2023の変更
変更なし
工業簿記・原価計算の出題範囲・区分
2020ー>2021の変更
- 「材料の有償支給について」の削除
2021ー>2022の変更
- 「作業屑の処理」の追加(「収益認識に関する会計基準」に沿って売却時に収益を計上するのか、それとも原価計算基準にもとづき売却価値の金額を製造原価から控除するのかという問題)
- 「副産物の処理と評価」の追加(上の「作業屑の処理」の追加と同じ理由)
2022ー>2023の変更
変更なし
まとめ
どうですか?2021年度はあまり変わらない印象を受けますがどうでしょうか?
逆に2022年度は大きく変わるように見えます。
ただ、「収益認識に関する会計基準」関連ばかりなので、この基準をしっかり理解できれば、芋づる式に変更点の理解はできる印象を、私はもちました。
どちらにしても、今の勉強が今後無駄になることはないと思います。
一緒にがんばりましょう!
なお、「収益認識に関する会計基準」については、このページで理論問題を作成中です。良かったら自由にご活用ください。