東京株式会社(発行済株式総数1500株)は 大阪株式会社(発行済株式総数1500株)を1年4月1日に吸収合併した。この企業結合は取得とされ、取得企業は東京株式会社である。次の資料に基づいて合併後の東京株式会社の貸借対照表を作成しなさい。
(A)合併直前の両社の貸借対照表
資産 | 東京株式会社 | 大阪株式会社 |
諸資産 | 1,210 | 950 |
負債・純資産 | 東京株式会社 | 大阪株式会社 |
諸負債 | 550 | 350 |
資本金 | 450 | 400 |
資本準備金 | 60 | 55 |
利益準備金 | 50 | 40 |
繰越利益剰余金 | 100 | 80 |
(B)合併に関する注意点
・東京株式会社は、大阪株式会社株主に対して東京株式を15株発行する。 なお、合併時点の 東京株式会社の時価は一株あたり40円である。
・東京株式会社の増加する資本のうち300円を資本金とし、 残額を資本準備金とする。
・大阪株式会社の資産の時価は 1,000円、負債の時価は420円である。
合併後の貸借対照表
資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
諸資産 | 2,210 | 諸負債 | 970 |
のれん | 20 | 資本金 | 750 |
資本準備金 | 360 | ||
利益準備金 | 50 | ||
繰越利益剰余金 | 100 | ||
2,230 | 2,230 |
ある企業と他の企業が、一つの報告単位にまとまることを企業結合と言います。
企業結合の種類には合併、株式交換、株式移転、子会社株式の取得などがあります。 最も多く簿記の問題でよく出てくる「取得」について 書いていきます。「取得」とは、ある企業が他の企業、または、他の企業の事業に対する支配を獲得することを言います。
この取得の場合、 会計処理はパーチェス法という方法を使います。 パーチェス法とは、取得した事業の取得原価を、対価として支出する現金の額や交付する株式の時価とする方法をいいます。
今回の例題では、 下のようになります。
諸資産は、東京の資産の簿価である 1210円 + 大阪の資産の時価である 1000円を足し、2,210円となります。 同様に諸負債も 550円+ 420円=970円となります。
また、株式については以下の通りです。
取得原価は発行株式の時価になるので、40円 x 15株 =600 。うち問題文の指示により300を資本金、資本準備金に振り替えます。ここで純資産の取得原価は600となるわけですが、資産ー負債の時価(1,000-420)=580との差(20)はどういうことでしょうか?
この差が「のれん」と言われるものです。こののれんは科目としては無形固定資産となり、資産計上されます。ちなみに貸方になる場合は「負ののれん」となり特別利益として収益処理されます。
企業結合、取得の場合、交付株式などの時価で決めるパーチェス法を使う。
取得原価と純資産の時価の差額は「のれん」として処理する。